• 不妊の原因
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2015.11.30

こんなに違う、20代のころの私 VS いまの私


⑦

ヒトの体は新陳代謝を行い、毎日細胞が入れ替わります。しかし卵子は細胞分裂できない特別な存在です。卵子は減数分裂の途中で休眠状態になり、長期間保存され、精子と一緒になって受精卵になると、特別な分裂(減数分裂)を完了します。それまでは細胞が生まれ変わることなく、何十年も卵巣の中で待っています。

「卵子が老化する」、とはこのことです。

生まれてきたときすでに持っていた原始卵胞は、20代で妊娠したら20年後、40歳で妊娠したら40年後にはじめて細胞分裂(減数分裂)を完了します。ちなみに、卵子が老化するといっても、実は老化卵子も若い卵子も、見た目はほとんど同じです。シワシワになるわけでもないし、変色するわけでもありません。しかし、多くの卵胞は生き残っておらず、卵胞が育っても、卵子がすでに死んでしまっていて卵の周りの細胞だけが生きている状態(変性卵)の確率も増えています。

さらに、卵子が生き残っていたとしても安心はできません。卵巣の中で何十年も眠っていた原始卵胞が排卵に向けて減数分裂の続きを行うときに、本来なら半分ずつに分かれなければならない染色体がどちらかが多くなってしまったりするということが起こります。それが染色体異常です。この場合、ほとんどが流産します。どうして均等に別れないのか。それは細胞が二つに分かれていくとき、遺伝子を束ねているタンパク質が傷んで崩れ、均等にわかれないためではないかと最近の研究でわかってきました。

年齢が上がれば上がるほど、卵胞の中に卵子がいない(また変性している)とか、減数分裂が正常に進まず染色体異常となるなどといったことが起こり、妊娠しにくくなっている、また流産しやすくなっているということです。

不妊治療の成果にも、年齢の差が表れます。例えば、初めて妊娠するまでの平均採卵回数は、30歳以上なら1.2回なのに対して40~42歳では3.2回・移植回数は30歳以下なら2.0回で40~42歳は2.7回。

何を意味するかというと、30歳以下なら1回採取し、何個か取れて凍結できます。それを1個ずつ融解して胚移植すると2回ほどで妊娠するということです。それが40代になると、妊娠できた人でも平均3回以上採卵が必要となります。それだけ妊娠につながりにくいということを表しています。ただし、ここで間違えてほしくないのは、個人差がとても大きいということです。平均すればこの数値ですが、なかには若くても妊娠まで10回以上かかる方もいます。

「私は30代だからまだ大丈夫」とは決して言えませんし、安心しきってはいけません。現代社会で働く女性のみなさんに自分のからだのこと、女性のからだのことをもっとよく知ってほしいです。