• 不妊治療
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2015.11.27

不妊治療の間違ったうわさ


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1     不妊治療が体に悪いというのは本当?

よく、「不妊治療は体に悪い影響を与えるのではないか」と思っている人がいるのではないでしょうか。

薬を服用したり注射を打ったりすることに抵抗感を持つ人も少なくないようです。しかし、不妊治療に副作用があるかと聞かれると、「副作用はありません。強いて言うなら、副作用は妊娠ですよ」と言いたいですね。

昔は排卵誘発剤による多胎妊娠や重度の過剰刺激症候群などが大きくマスコミに取り上げられたこともあります。一部の例がセンセーショナルに扱われ、「不妊治療が悪い」と叩かれたこともあります。多胎妊娠は母体に負担をかけます。また早産になる確率も上がります。そのため、高度生殖治療では多胎妊娠を防ぐために子宮に戻す胚は35歳未満で1個、35歳以上あるいは2回以上の治療で妊娠に至らなかった場合のみ2個と決められています(日本産科婦人科学会/2008年)。

「副作用が妊娠である」と言いましたが、それだけ妊娠は女性の体に負担をかけるということです。昔はお産で命を落とす人も大勢いました。今は医学が進歩して、妊娠や出産のトラブルは少なくなりましたが、それでも体への負担が昔より軽くなったというわけではありません。ですから不妊治療が大変だとしたら、それより大変な妊娠や出産に耐えられるとは考えられません。逆に、「最も体によい不妊治療は?」と聞かれれば、「何もしない自然に近い妊娠の治療です」ということになります。妊娠しなければ体に負担がかかりませんからね。

いずれにしても治療が長引けば、体よりも心に悪いと思います。なかなか赤ちゃんを授からなければストレスもたまるでしょう。ですから不妊治療に長々と時間をかけてはいけないと思います。不妊治療はできるだけ短期間で行い、長くても2年以内に結果を出さなければいけないと思っています。

 

2     障害児が生まれてくるのは不妊治療のせいではない!

「不妊治療をすると障害児が生まれてくる確率が高いのではないか」と、こちらもよく言われがちですが、これは間違っています。体外受精が始まったばかりの30年ほど前、これを続けていっていいのかどうかという議論がありました。しかし30年経った今、世界中で約500万人の赤ちゃんが体外受精により誕生しています。日本では現在、生まれてくる赤ちゃんの27人に1人は体外受精・顕微授精で妊娠した赤ちゃんとなりました。これはつまり、体外受精が有効な治療であり、不妊の患者さんたちにとって非常によいものだということが確立されたことを意味します。不妊治療をしなくても、一定の確率(2~3%)で先天異常をもった赤ちゃんは生まれてきます。ただ、不妊治療している人の中には、もともと病気をもった人や染色体異常がある人の割合が少しだけ高く、その分だけ子どもの異常も目立つのかもしれません。

ダウン症に関しては、女性の年齢の影響を受けます。母体の年齢が35歳で800~900人に1人、40歳で50人に1人、45歳で20人に1人の確率と、年齢が上がるにつれて高くなります。つまりこれは、不妊治療の影響ではなく、卵子が老化することによって起こると考えられています。