• 不妊の原因
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2015.12.10

卵子の衝撃その② 「卵子は減少する」


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1     卵子は砂時計のようにサラサラと消えてなくなる

女の子は、お母さんのおなかの中にいるときにすでに一生分の卵子を作るということは説明しました。

妊娠6か月の時に700万個あった卵子は生まれてきたときには200万個。35歳では生まれてきたときの1~2%ほど、2~3万個程度しか残っていません。生理が始まってから毎月1個ずつ少なくなるのではなく、整理のあるなしにかかわらず毎日30~40個がなくなっていきます。

 

生まれたときから毎日なくなっていく卵子。その様子はまるで砂時計のようです。

 

何をしても、何もしなくても、ただサラサラと消えてなくなっていってしまうのです。努力しても消失を止めることはでいませんし、例えば卵子を採るために排卵誘発剤を使ったからといって通常より多く消失するということもありません。

砂時計で考えると、砂時計の下に流れ落ちた部分がこれまでになくなった卵子の量。そして上に残っている部分がいま卵巣内に残っている卵子になります。これを卵巣予備能といいます。卵巣予備能は年齢とともに下がっていきますが、個人差が非常に大きいのが特徴です。年齢の割にたくさん卵子が残っている人もいれば、年齢が若いのに残りの卵子がほとんどないという人もいます。

AMH(アンチミューラリアンホルモン)という卵巣予備能を測る血液検査をすれば、おおよその残りの卵子の数の目安がわかります。

 

2     卵胞はどのように発育する?

学校の授業で習った卵子のイメージは、「毎月1個ずつ卵子が卵巣から出て育ち、子宮におりていく」といったイメージでしょうか。しかし実際は違います。卵子のもとである原始卵胞はいくつも、常に発育しています。ですから、例えばある時期に卵巣の中をのぞいてみると、成長を始めたばかりのもの、もうそろそろ成熟するものなど、いろいろな成熟段階の卵子があります。それが、卵巣予備能が低下して残っている原始卵胞が少なくなってくると、成熟を始めているものも、成熟しているものも少なくなっていくのです。

体外受精では採卵といって卵子を採る作業が行われます。その際に注射を打って卵子の成熟を誘発するわけですが、採卵をするときには1個だけではなく何個か卵子を採ることができます。ところが同じように注射を打っても、予備能の低い人では採れる卵の数は減ります。もともと育っている卵子の絶対数が少ないのです。

「今回はあまり採れなかったから今度は注射を増やしてみましょう」と誘発剤を増やしても、注射をたくさん打っても卵胞がバンバン出てくるわけではないです。また、排卵誘発を行うというと、無理やり何個も排卵させるイメージをもっている方もいるかもしれませんが、それは間違いです。原始卵胞が成熟卵胞になる半年のサイクルのうち、はじめの3~4か月卵が自然に育つのを待つしかできません。

最後の1か月間については、ドクターが排卵を誘発することができます。採卵に限らずですが、医療として手を加えることは、一般的に思われているイメージより実は意外と少ないのです。